第230回佐保カルチャー

  奈良には古き仏たち(4)-薬師寺の仏たちー を開催しました。

 

    講師:奈良国立博物館名誉館員 鈴木喜博氏

    法話:薬師寺執事長 加藤朝胤師

     日  時:平成30年3月13日(火)13:00~16:00

    講演会会場:薬師寺まほろば会館

            参加者:54名

 

 好評の鈴木喜博氏による仏像シリーズ4回目は、晴天の薬師寺で開催されました。この日は、境内のあちらこちらで白やピンクの梅の花が咲き競い、思わず足を止めてカメラを向ける人を多く見かけました。

 まず、薬師寺執事長の加藤朝胤師の法話をお伺いしました。仏教の経典の一つである大変難解な般若心経は、簡単に言うと、物事に奇跡は生じない、必ず原因があり縁があって、結果が出てくるのだという事を、朝顔の種から花が咲く様子に例えて分かり易く教えて下さいました。

 次いで、鈴木喜博氏により、まほろば会館と金堂の薬師三尊像、東院堂の聖観世音菩薩像の前でお話を伺いました。薬師寺は天武天皇の発願により造営、持統天皇に引き継がれ、文武天皇の御代に飛鳥の地に完成し、平城遷都により現在の地に移されたものですが、仏像の製作時期などは意見が分かれ、証拠がないため、学者の間で永遠の論争になっているそうです。

 仏像の見方として、手、足の組み方、顔の形、頬の肉付き、目の形、瞼(上瞼が直線か、下瞼が直線か)、あご下の肉どり、胸と腹のくびれの位置、胸板の厚みや角度、肘の位置や手首の角度、衣の薄さや質感等々、数々の視点から見ることを教えて頂きました。また、写真と実物の違いなどをメモに取るのも面白いし、陽射しによって見え方が変わるので時間を変えて訪れるのも良いそうです。

 参加者のアンケートにも「仏像を見るポイントを教えて頂き、大変、参考になった」というご意見を頂き、今後ともこのシリーズに期待がかかるところです。