第231回佐保カルチャー

  「折り鶴に潜む数学」

    講師:村井紘子氏 (奈良女子大学研究院 自然科学系数学領域 助教)

     日時 : 平成30年6月9日(土) 14:00~15:30

     会場 : 佐保会館(奈良市北魚屋西町 奈良女子大学構内) 

                            主催 奈良女子大学同窓会 佐保会奈良支部

                      共催 奈良女子大学 社会連携センター

                      後援 奈良女子大学 理系女性教育開発共同機構 

近年宇宙工学や建築にも応用されている、折り紙にどのような数学が潜んでいるのか興味深い内容でもあり、中高生が5校26名、現役の奈良女子大学や大学院の学生4名と学生の参加が多数ありました。また、大学SNSで本講座を知ったと、遠く広島からの卒業生もいて、92名の参加者で会場はいっぱいでした。

 

最初に1797年発行の連鶴49種が載っている「秘傳千羽鸖折形」や《川崎ローズ》とその考案者川崎敏和氏の「バラと折り紙と数学」もご紹介下さり、折り紙の奥深さを知ることができました。

 

4種類の四辺形(菱形、幡形、長方形、凸四辺形)の折り紙で皆様あれこれ相談しながら暫くの間、鶴を真剣に折りました。中には講師のお話が始まる前に3種類折れている人も居ましたが、なかなか皆様苦戦されているように見受けられました。

 

「どのような形の紙からなら鶴が折れるか?」数学的に表現するならば、「与えられた四角形Rに対し、Rから良い鶴の基本形が折れるかどうか判定せよ」となる。頭と尾尻が持ち上がる良い鶴を折るためには、四辺形の4辺と鶴の背中の頂点が同一直線状になければならない。

先生が良い鶴の基本形を軸で切って4個の部分に分解し、それぞれの四角形について幾何学的に説明され、4隅の角の二等分線が1か所で交わる四角形は内接円を持つことまで、丁寧に説明下さいました。何十年も前の高校数学の授業を思い出した方も多かったのではないでしょうか。そして、「良い鶴の基本形が折れる必要十分条件は内接円を持つ四角形である事」が導かれました。配られた折り紙のうち長方形以外は鶴が折れるのです。時間の都合で一部の証明は省略されましたが、あとでやってみるとアンケートに書いてくれた高校生もいました。生徒さんたちに良い刺激になったかもしれません。

 

聴講者全員にいきわたる程たくさん、先生が4番目の凸四角形で鶴を折って、持って来て下さいました。開けると赤い山折り線や、青い谷折り線が書き込まれた展開図になっていました。お忙しい中本当にありがとうございました。